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2022/02/14
患者様に多いお悩み

コロナ時代の慢性前立腺炎

今回は慢性前立腺炎に関してお話ししたいと思います。
総合病院勤務時代はそれほど頻度の多い疾患ではなかったイメージの慢性前立腺炎ですが
この数年本当に症例数が増えていると実感しています。
原因は明らかに新型コロナ感染症にあるといえるでしょう。

個人的に慢性前立腺炎は生活習慣病であるとも言えると思っています。
30~40歳代に多く、ストレスが引き金になる。
さらに新型コロナ感染症により増加した自宅勤務での座りっぱなし、運動不足が関係しています。

前立腺という組織はテレビのCMでもおなじみ前立腺肥大症、ノコギリヤシなど耳にしたことが
ある人も多いかと思います。精液の一部を作ったりする臓器ですね。尿漏れを止める役割を
することもあります。ここに慢性炎症が起こると尿をするときの痛みや頻尿、下腹部痛や陰のう痛
うつ病などとも合併することが知られています。

前立腺炎の歴史は長いですが実は現在も色々な治療法が検討されています。
第一選択薬は植物製剤なのですがこの作用機序がわかっていないという驚きの事実。
そのほかにも前立腺マッサージ、電気治療、鍼治療など様々な治療法が検討されております。
漢方薬も大活躍の分野なのですがこれが治療する施設によって全然違うというのも
すごいことですよね。EBM(エビデンス)時代にここまで経験則で治療法が選択されている
のも驚きです。
僕が使用することがある漢方薬は八味地黄丸、牛車腎気丸、竜胆瀉肝湯、桂枝茯苓丸ですが
排尿痛、残尿感などには猪苓湯、五淋散なども使うメリットがあるのではないかと思います。
聞いたところによると補中益気湯も効果があるとかないとか。
補中益気湯は慢性疲労、更年期障害やLOH症候群などに使用する補気剤なので抗炎症の作用機序を
考えると本当に効いてるのか疑問に思いますが。
病院によって治療方針が異なるのも事実なので(植物製剤は同じでしょうが)なかなか
治療がうまくいかない場合は色んな病院を受診してみるのも選択肢の一つかもしれませんね。

またこの項目については色々考察したいと思ってます。