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尿・尿漏れ

Frequent urination

頻尿とは、一般的に尿の回数が多かったり、トイレが近いという症状のことをいいます。
専門に取り扱う泌尿器科でも、「頻尿」は頻度の高い症例ですが、その病気のぐあいはかなり複雑です。
医師によっては、高齢男性の頻尿を前立腺肥大症に結びつける場合も多くありますが、実際にはそのように単純ではありません。
  • 頻尿の定義

    頻尿の定義
    どのような場合に頻尿であるか、一般的には「昼間の排尿回数が7回以上、夜は1回以上」というものがあります。

    しかし、実際には1日の排尿回数が20回以上でも問題ない方もいますし、8回でも非常に困っている方もいます。

    人によって異なる「頻尿」について、それぞれで原因を探り、診療方針を考える必要があります。
  • 頻尿の原因

    頻尿の原因
    頻尿の原因をつきとめるためには、現在の症状やほかの病気などについて詳しくお話を聞き、検査が必要です。

    問診では、排尿回数や量について、尿意の具合や漏れがないかなど、細かく伺います。

    また、一見すると頻尿には関係がないと思うような病気が関わっていることもありますので、過去の手術歴や血圧、不眠がないかなどについてもお聞きします。
  • 頻尿の治療について

    頻尿の治療について
    頻尿の原因は様々あり、一つだけとも限らないことから、治療の途中でお薬を変更することがあります。

    男性の場合、前立腺肥大症に関わる頻尿であれば、最初に前立腺肥大症の内服治療を行い、並行して頻尿の治療をするということになります。

    頻尿のほかに、高血圧や糖尿病などの病気がある場合には、同時にその治療を行うことも重要です。

    治療に使用するお薬は、膀胱の筋肉を縮めるものや、緩めるものなどがあり、ほかに、漢方薬や尿意を抑えるようなホルモン薬、睡眠を調整するお薬を使用することもあります。

夜間頻尿

Nocturia

夜間頻尿とは、夜眠りについてから朝起きるまでに1回以上トイレに行く状態をいいますが、その原因は様々です。
まず、夜間の尿量が多いために回数が多くなる夜間多尿とは区別する必要があります。
夜間頻尿の原因として考えられるものには、以下の3つの場合に分けることができます。

  • 01.
    前立腺や膀胱の病気によるもの
  • 02.
    高血圧、心不全、下肢浮腫、肺疾患など他の臓器の病気に伴うもの
  • 03.
    アルコールやカフェインの過剰摂取、不眠症などに伴うもの

夜間頻尿は原因が一つとは限らず、上の①から③のうち複数が絡み合って起こっている場合もあります。
そのため、「夜間の尿回数を1回減らしたい」というだけでも、何度も薬の調整が必要なケースも多くあるのです。

Overactive bladder

過活動膀胱(かかつどうぼうこう)とは、頻尿を主な症状とする病気の一つで、
「急に我慢できないような尿意が起こる」といった症状です。

膀胱が過敏に反応してしまう、という症状があれば過活動膀胱と診断できますので、尿漏れがあるかどうかは問いません。

日常生活で、水仕事をしている時などに突然尿意がおそってくる場合は、過活動膀胱である可能性があります。

過活動膀胱の症状がある方は、バスや電車をするときや会議などですぐにトイレに行けない環境では、
不安になるため外出を控えるようになるなど、不便な生活を強いられます。

しかし、適切な治療で十分に改善する見込みがあります。
  • 過活動膀胱の原因

    膀胱は、交感神経や副交感神経といった「自律神経」がコントロールしています。

    この神経の異常によって起こる過活動膀胱と、ストレスなどが原因で突然はじまる過活動膀胱があります。

    自律神経の異常は、加齢による場合や脳梗塞や脊椎の病気などで膀胱に関係する神経に障害を受けた場合に起こります。

  • 過活動膀胱の治療

    過活動膀胱の治療は基本的にお薬で行いますが、ほかの病気が関わっている場合には、それも同時に治療する必要があります。

    例えば男性の場合、「前立腺肥大症に伴う過活動膀胱」や「脳梗塞後に発症する過活動膀胱」などがあります。

    ほかにも、残尿が多かったり、眼科にかかっていたり認知症の症状がある場合は、お薬の使い方にも注意が必要です。

    過活動膀胱は、若年から高齢の方まで幅広い年代で発症する可能性がありますが、男女差はなく「日本人の10人〜20人に1人」といわれるほど身近な病気です。

    尿に関することで気になる症状がある場合は、京田辺市にある泌尿器科に相談することをお勧めします。

Stress urinary incontinence

腹圧性尿失禁とは、お腹に力を入れたときに尿が漏れる疾患の総称です
  • 腹圧性尿失禁の原因

    腹圧性尿失禁の原因

    その原因は、骨盤を支える骨盤底筋群の筋力低下や中部尿道の過可動(尿道の安定が悪い)によるものと考えられています。
    女性に圧倒的に多いのですが、それは、もともと女性は尿道が短いため、中部尿道が不安定になりやすいこと、妊娠や出産にともなう骨盤底筋群のゆるみが生じること、男性と比較して筋力が弱いことが原因としてあげられます。
    しかし男性であっても、高齢で筋力低下が著しい場合や前立腺手術後で尿道抵抗が少なくなっている場合にも、腹圧性尿失禁を起こすことがあります。
    具体的には、階段を昇り降りするときや、咳、くしゃみをするときに尿漏れが起きる場合、腹圧性尿失禁であることが多いです。
  • 腹圧性尿失禁の治療

    腹圧性尿失禁の治療

    治療にはまず、尿道周囲の筋肉を締める薬や、一般的な尿失禁の薬を使用します。
    そして、同時に骨盤底筋体操の指導を行います。
    しかし、この体操を行うのは家庭やクリニック外であるため、方法や回数など、しっかりできているか確認が難しいという点があります。
    また、筋肉トレーニングやリハビリの一種であるため、毎日実行しても数か月は効果が実感できないことが多く、途中で忘れたりやめたりしがちです。
    当院ではそのような方に、内服での治療と並行して「中周波を使用した骨盤底筋干渉波刺激療法」を行っております。
    中周波を使用するため、表面の筋肉ではなく主に骨盤内の筋肉を刺激して筋力アップをはかる治療法です。
    いずれにせよ、効果を感じるまでに数か月以上は治療を継続することが重要です。
    また、重症例や明らかな骨盤臓器脱が原因の場合は、手術によって尿道や骨盤底筋を持ち上げ補助したり、臓器脱を治療する必要があるため、連携施設を紹介させていただきます。

切迫性尿失禁

Urge incontinence

尿意切迫感を感じ、我慢できずに尿が漏れることを切迫性尿失禁といいます。

尿意切迫感を自覚する場合、多くは過活動膀胱によるものです。

ただし、過活動膀胱の診断には尿失禁は含まれていないため「突然の強い尿意」を感じ、さらに尿漏れも伴う場合は、過活動膀胱に伴う尿失禁とも言えます。

切迫性尿失禁の治療は、過活動膀胱と同じように行います。

溢流性尿失禁

Overflow incontinence

溢流性尿失禁とは、これ以上は尿を貯めることができない状態にまで膀胱が膨れ上がり、オーバーフローして尿が漏れる状態を言います。

神経因性膀胱や前立腺肥大症に伴って尿が出なくなる「尿閉」という症状から起こります。

注意しなければならないのは、患者さんが尿失禁と自覚しておらず「排尿できている」と勘違いする場合があることです。

普段から尿が出にくいという症状がある場合は、簡単に診断ができる超音波検査で詳しく調べる必要があります。

機能性尿失禁

Functional urinary incontinence

機能性尿失禁とは、臓器の障害で起きる失禁ではなく、動作や行動が遅いために、尿意を感じてからトイレに行くまで間に合わずに漏れるという場合におきる失禁です。

その治療にあたり当院では、生活指導を行ったり、介助をする方へは適切な介助の方法を指導します。

また、以下のように環境を整備する、といったことも必要になります。

  • 尿意を感じてからギリギリまで我慢せず、早めにトイレに行く習慣をつける
  • トイレに行くために手すりなどを利用したり、介助をしてもらう
  • トイレまでの距離が近い部屋を利用する